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村上春樹or吉本ばななテイストに海外旅行を語る

1 :1:03/11/27 11:05 ID:bd3jZ9ro

僕は37歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。
その巨大な飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、ハンブルグ空港に到着しようとしているところだった。
十一月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、雨合羽を着た整備士たちや、のっぺりとした空港ビルの上に立った旗や、BMWの広告板やそんな何もかもをフランドル派の陰うつな絵の背景のように見せていた。
やれやれ、またドイツか、と僕は思った。

スチュワーデスがやってきて、僕の隣りに腰を下ろし、もう大丈夫かと訊ねた。
「大丈夫です、ありがとう。ちょっと哀しくなっただけだから」と僕は言って微笑んだ。
(It's all right now, thank you . I only felt lonly, you know.)
「Well, I feel same way, same thing, once in a while. I know what you mean.」
(そういうこと私にもときどきありますよ。よくわかります)
彼女はそう言って首を振り、席から立ち上がってとても素敵な笑顔を僕に向けてくれた。
「I hope you'll have a nice trip. Auf Wiedersehen !」(良い御旅行を。さよなら)

「Auf Wiedersehen !」と僕も言った。



20 :異邦人さん:03/11/29 22:25 ID:WS5d1Mq6
荒れているわけで。

21 :アウフウィーダージン:03/11/30 10:13 ID:nXeowtPP

てるおの話に妙な爽やかさと潔さを感じたのは俺だけだろうか?
まさか村上春樹が本当に書いているのではないか?

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22 :異邦人さん:03/11/30 13:08 ID:FCR0+emT


ジベルニーの睡蓮の池を見ていた。
隣には、みどりがいてじっと水面を凝視していた。
その姿はまるで、睡蓮の池とみどりによる一対の風景作品のように見えた。
運に恵まれることなく死んでいった画家が残していった風景作品だ。

突然、遠くのほうで小鳥の鳴き声が響きわたった。
まるでそれが合図であったかのようにみとりが呟いた。
「ゴッホは池に咲く睡蓮を見ていたのから、それとも自分を見ていたのかしら」
池に浮かぶ睡蓮を見ていたのかもしれないし、自分を見ていたのかもしれないと
僕は答えた。

みどりが突然「フランスに行きたい」と言い出したのは去年の冷たい雨のふる夜だった。





23 :異邦人さん:03/11/30 14:22 ID:DfS1gWyC
>>21
自画像?

24 :異邦人さん:03/11/30 17:31 ID:9O4a+RDp
飛行機はエメラルドグリーンに輝く海上をゆっくりと旋回して
海岸に面した滑走路に滑り込んだ。

バリの空気はねっとりと私を包み込んで迎えてくれる。
この島には熟したフルーツのような甘い香りがただよっている。


  「私、ハワイには行けないわ」
  ジェフに電話したのは昨晩だった。
  「キョウコ!僕は君が来るから、たくさんプランを考えていたのに!」
  ジェフの太い腕が少し懐かしい。
 

バリのホテルはサービス・設備共にレベルが高い。
大理石の磨かれた床に大きな天蓋付きベッド。
広々とした明るいリビングからは
手入れの行き届いた庭とプールが見渡せる。

門からチャイムの音がする。
高い塀に囲まれた庭を歩いて門を開けに行かねばならない


25 :異邦人さん:03/11/30 17:32 ID:9O4a+RDp
「こんにちは。僕、ワヤンです。」
華奢な体つきの若い男の子がはにかんだ笑顔で立っている。
「ナオミサンから電話があって、あなたを案内するようにって…」
ナオミはキムタク似のかわいい子、と言っていたがウソではなかったようだ
「そう、入って」

 
    ジェフは私を少女のように扱った。
    仕事のストレスを抱えた私にはジェフと過ごす時間が心地よかった
    私は子供のように彼の厚い胸にすがり付いて眠った…


ワヤンはなれた手つきでコーヒーを入れてくれた。
「キョウコさんみたいな綺麗な人と出会えて僕、嬉しい」
なかなか嬉しい事を言ってくれる
「ナオミさん、どうして来ないの?僕の事キライになったのかな…」
「そんな事ないわ、彼女又くるわよ」
「本当に?」
悲しそうな目がいじらしい。
私はそっと彼を胸に抱き寄せて囁く。
「必ず来るわ。でも今は私がなぐさめてあげる」
「キョウコさん…」
彼は頭の良い子だ。
飢えた赤ん坊のように私の乳首にむしゃぶりついてくる

そうよワヤン、ナオミと交換したのよ。
私のジェフと貴方をね…
ナオミは今頃ハワイでジェフとレイププレイよ

26 :異邦人さん:03/11/30 20:41 ID:CjW9Jy4d
やれやれ、山田詠美が現れたようだ。
僕は、パスタを茹でながら67本目のタバコに火をつけた。
そしてふと、村上龍の登場を懸念した。
それはまるで、空き缶に群がる東南アジアの蟻のような必然性に思えた。

27 :異邦人さん:03/12/01 13:32 ID:5E8GhEVn
機内での2ちゃんねるはとても愛しい。
懐かしい気持ちを呼び起こされて切なくなる。
私はこれから新しい家で新しい家族と生きていく。

28 :異邦人さん:03/12/02 22:41 ID:oxx9VZHS
ばななまだぁ〜?

29 :異邦人さん:03/12/03 12:34 ID:AaJee55U

向かえの乗客はうさぎだった。ラビットのうさぎだ。
うさぎに訊ねられた。「君は何処へ向かっているんだい?」
僕は、わからない。自分でもわからないんだ。人を尾行しているだ。と答えた。
うさぎは、鼻をぴくぴく動かせながら僕の言葉に耳を傾けている。
車内販売員が近づいてきた。うさぎは言った。
「何か飲むかい?」僕は、いらないと答えた。
うさぎは、うなずいて次に「何か食べるかい?」と言った。
続けて断ることに気が引けたので、僕は、この地方の名物って何かな?と答えた。
うさぎの顔に笑みが広がり、「あるよ、木の実のパイが名物なんだ」と言って
すぐ二人分の木の実のパイを注文した。うさぎは、パイの包みと引き替えに
ポケットからコインと取り出し、車内販売員に手渡した。
うさぎの指は7本だった。僕は、ありがとうとお礼を言ってパイを一包み受け取った。
「君はいったい誰を尾行しているんだい?」うさぎがもぐもぐパイを食べながら僕に訊ねた。
僕は、車窓の外を流れていく風景を見つめながら、質問の答えに近づくような言葉を探した。
「尾行する存在がいるはずなんだ、とにかく確信しているんだ」と僕は答えた。
うさぎは7本の指でしっかりと食べかけのパイを握り僕の顔をじっと見つめている。
僕は、自分は他人とのお喋りが下手だな・・・と心の中で呟いた。心の中で呟いたと同時に、
うさぎが、こう言った。「君は片手の指が5本だね、ボクは7本あるんだ」。
うさぎは、その7本の指で食べかけのパイをしっかりと握っている。
動物園のうさぎも動物図鑑のうさぎも指は7本ではない。うさぎは、じっと僕を見つめている。
バタン!とどこかの席で窓を下ろす音がした。それはひどく厳しく大きな音だった。
そうだね。7本あるね。僕はそう言って頷いた。
駅を出発してから37分29秒目のことだった。
駅を出発してから37分34秒目、うさぎはじっと僕を見つめている。

30 :異邦人さん:03/12/04 22:12 ID:HsY3Ck7C
せつない。

31 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 00:55 ID:JVm4J3Km
      ___   
    <_葱看>ヽ
  / I ( X .)) i \
    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
      /::::ヘ
      し し
      ┃」|

32 :わむて ◆wamuteW7DE :03/12/07 01:19 ID:yHfbwCKi


  <_葱看>、
/ I .((ハ)) i \
  ノゝ`∀´>ノハ    これからもわむてを応援しおてくださいね〜 
    uiYu      みるまら〜<^^>
   .〈|: _>
    ∪∪




33 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 03:54 ID:6zoDeY43
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    <_葱看>ヽ
  / I ( X .)) i \
    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
      /::::ヘ
      し し
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34 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 05:53 ID:UF6N9oQr
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    <_葱看>ヽ
  / I ( X .)) i \
    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
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      し し
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35 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 08:23 ID:jcCThCxJ
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
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36 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 10:31 ID:nbPZcAW2
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    <_葱看>ヽ
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
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37 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 12:53 ID:bmuTNTgv
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
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38 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 15:08 ID:YAGZjuof
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
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39 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 17:36 ID:7swUAGBi
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
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40 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 20:03 ID:YAGZjuof
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
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41 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/07 22:22 ID:5ttlMyju
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
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42 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/08 01:07 ID:8PVQT9g5
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
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43 :わむて ◆WAmuTEuQD. :03/12/08 03:24 ID:hAYCTQlc
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    <_葱看>ヽ
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    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
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44 :異邦人さん:03/12/08 19:44 ID:WxxwTd6u
やれやれ。

45 :異邦人さん:03/12/09 19:16 ID:6YNRPJWl
やれやれ。

46 :異邦人さん:03/12/10 19:25 ID:OSTVu7t8
やれやれ。

47 :異邦人さん:03/12/12 11:42 ID:I6gJCpuo
やれやれ。

48 :異邦人さん:03/12/12 22:16 ID:BzZ0y4HH
続かないようなクソスレ立てんなハゲ

49 :異邦人さん:03/12/12 22:33 ID:4lfMtx5Z
辻邦生でやってみよう

50 :異邦人さん:03/12/13 02:07 ID:wdsUm9MM
>>48
ケチつける前に自分で描いてろよ。

51 :異邦人さん:03/12/13 13:38 ID:VIdURzNd
やれやれ。
こうして僕は12回目のやれやれを呟くことになった。
そしてそれは呟けば呟くほど僕の体を消耗させていく。
よそう、こんなことは建設的じゃない。
僕はこんなことをする為にここに来た訳じゃないのだ。

52 :異邦人さん:03/12/13 21:43 ID:kjD0tBJi
僕は30歳で、そのときエアバスA310のシートに座っていた。
その中途半端な飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、インディラガンディー空港に到着しようとしているところだった。
11月の生暖かい雨が大地を暗く染め、ランニングシャツのリキャワーラーたちや、空港ビルを出たところに
たむろするタクシードライバーや、
ツーリストオフィスの広告板やこれから対処しなければならいと事を思うとうんざりした。
ふぅ、やれやれ、またインドか、と僕は思った。

サリーを着たスチュワーデスがやってきて、僕の隣りに腰を下ろし、もう大丈夫かと訊ねた。
「大丈夫です、ありがとう。激しく鬱になっただけだから」と僕は言って微笑んだ。
「Well, I feel same way, same thing, once in a while. I know what you mean.」
(そういうこと私にもときどきありますよ。よくわかります)
彼女はそう言って首を振り、席から立ち上がってとても素敵な笑顔を僕に向けてくれた。
「I hope you'll have a nice trip.フィルミレンゲ !」(良い御旅行を。またあいましょう)

「フィルミレンゲ !」と僕も言った。


53 :異邦人さん:03/12/14 08:47 ID:ppZPSHp9
ちゃんと読んでるよ

54 :異邦人さん:03/12/15 00:06 ID:XyNo5WmS
漏れもちゃんと読んでるよ。

55 :異邦人さん:03/12/17 22:15 ID:nrzTm51F
◆糸冬◆

56 :■■■■■■■安室奈美恵「style」絶賛発売中 ◆950sm8WTNA :03/12/27 12:42 ID:aphEBMCh
( ’ ⊇’)

57 :あぼーん:あぼーん
あぼーん

58 :異邦人さん:04/01/04 15:45 ID:UwudVzN+
僕は26歳で、そのときY7-100Cのシートに座っていた。
その壊れそうな飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、ビエンチャン空港に到着しようとしているところだった。
一月の濃灰色の雲が大地を暗く染め、整備士などいない飛行場、日本のODAのおかげで見た目だけは立派な空港ビルの上に立った旗や、赤茶けた大地やそんな何もかもをフランドル派の陰うつな絵の背景のように見せていた。
やれやれ、またラオスか、と僕は思った。

スチュワーデスがやってきて、僕の隣りに腰を下ろし、もう大丈夫かと訊ねた。
「大丈夫です、ありがとう。ちょっと怖くなっただけだから」と僕は言って微笑んだ。
(It's all right now, thank you . I only felt scare, you know.)
「Well, I feel same way, same thing, once in a while. I know what you mean.」
(そういうこと私にもときどきありますよ。よくわかります)
彼女はそう言って首を振り、席から立ち上がってとても素敵な笑顔を僕に向けてくれた。
「I hope you'll have a nice trip. Sabadee !」(良い御旅行を。さよなら)

「Sabadee !」と僕も言った。

59 :異邦人さん:04/01/04 15:55 ID:yb14yuVC
 <_葱看>ヽ
  / I ( X .)) i \
    ノゝ。∀゚ノハ    これからもわむてを応援してくださいね!!!!111(^^)
     ノ(::::::)っ    みるまら〜〜〜!!!!!!!!1111(^^)
      /::::ヘ
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クソスレをわむてであげてみる…。しねよ春樹。

60 :春樹風:04/03/20 22:04 ID:cMUH8B3X
 八月はどしゃぶりの雨と共に幕を開けた。
そして、雨のあとのからりと晴れ上がった日に、
僕は成田空港に立っていた、大きなバッグと共に。
急に決めたもんだから、チェックインしてから出発するまでの間
友人・知り合いに電話をかけまくっていた。少しの間留守にするから
よろしく。旅行は二週間の予定です。しかし、そんなことをしていたら、
搭乗時刻の十分前になってしまった。僕は大慌てでゲートへ行ったけれども、
飛行機には乗せてもらえなかった。そこで、空港監視員と僕の間で大喧嘩が
行われた。このことについてはあまり語りたくない。とにかく僕は一晩を
あの最低な成田空港で過ごして、翌日の夕方同じフライトでシンガポールへと
旅立った。

61 :春樹風:04/03/20 22:08 ID:cMUH8B3X
 シンガポールは暑かった。くそ蒸し暑かった。僕の頭は寝不足と
疲れでボーっとしていたが、ロンリー・プラネット片手に、とにかく
彼女のいる場所までのルートを計画した。まず始めに、
マレーシアの国境の町、ジョホ・バルーへと向かう。シンガポールから
ジョホ・バルーまではバスで二、三時間かかる。ジョホ・バルーで、
クアラ・トゥレンガヌ行きのバスへ乗り換える。クアラ・トゥレンガヌ
へ着いたらクアラ・ベスッ行きのバスへ乗る。そして、
クアラ・ベスッからフェリーでペルヘンティアン島へ渡る。
クアラとはマレーシア語で河口の意味。つまり、僕はずっと海岸沿いを
バスで走るわけだ。早朝シンガポールのチャンギ国際空港に到着した僕は
しばらくの間空港のベンチで時間をつぶしてから、朝一番に市内へ
行くバスをつかまえた。結局ジョホ・バルーのバス・ターミナルへ
着いたのは午前十時ごろだった。窓口の男は言った。
「明日の昼までクアラ・テンガル行きのバスはないよ」僕は失望して
「途中の町までのバスもないのか?」と聞いた。
「ないよ」男はそっけなくそう言うと、どけという風に片手を振った。僕の後ろで並んでいる中年の男が顔を突き出して叫んだ。「ク・ムラッカ、サトゥ」 
 僕はあきらめてその場を離れた。適当な宿を見つけて、しばらく
その辺をうろうろする。バス停では英語が通じたが、
町の人は通じる人と通じない人が半々くらいだった。
割と中年の男性が英語を話すようだ。
老婆なんかは百パーセント駄目だ。


62 :異邦人さん:04/03/20 22:10 ID:LI6OGWoV
このスレに吐き気を催さない、と言ったら嘘になる。

63 :春樹風:04/03/20 22:17 ID:cMUH8B3X
 バス・ターミナルの裏の方にマーケットを見つけた。
小さな屋台がひしめきあっていて、大変な喧騒だ。
上から下までびっしりと品物でうめつくされている店々を
僕はゆっくりと見て回った。フェンディもどきのバッグ、
カルティエもどきの時計、主にフェイク品がひしめきあって
並んでいる。大変な安さだ。フェイクと言っても、
作りはしっかりしているし見た目もかわいい。
僕はグッチもどきのバッグを手に持って眺めていた。
彼女に似合いそうだ。とたんに、店の男が話しかけてきた。
「コレ、カワイイ、ソレニ、ヤスイネ」僕はあいまいにうなずいた。
「ディスカウント、ゴジュウ、ドウ?」僕は首を振って
その場を離れた。彼女に何か買っていきたかったけれど、
島に行くのにバッグはいらないだろう。歩いているだけで次々と
声をかけられた。
「オニイサン、コレ、ヤスイヨ」「チョット、チョット、ミテッテヨ」
無視していると中には、「オーイ、ムシスンジャネエヨ」と言う者も
あった。僕はそんな喧騒に少し疲れてカフェに入った。
ヨーグルト・シェイクを頼む。最近、アジアでの主要な観光地で、
物売りはみんな日本語を話す。大抵は、柄の悪い日本語だ。
なぜか「チビマルコ!」や「タマゴチッ!」と叫ばれたこともある。
バンコク、デリー、パラオ、メキシコへ行ったときまでそうだった。
日本人はほいほい金を出す格好のターゲットなのだ。

64 :春樹風:04/03/20 22:19 ID:cMUH8B3X
 ウエイターがどでかいグラスにたっぷりと氷が入ったシェイクを
テーブルの上にどんと音をたてて置いた。僕は考えるのをやめにして
、からからの喉に勢いシェイクを吸い込んだ。
頭の左奥が小石を射ちこまれたようにキーンと痛んだ。
冷たい飲み物とともにカフェの中に座っていると、
少し気持ちが落ち着いてきた。相変わらず寝不足でまぶたが
重かったけれど、爛々と照りつける太陽や生き生きと動いている人々は、
僕にエネルギーをくれた。

65 :異邦人さん:04/03/22 19:53 ID:gj9I6mhx
僕は、このスレッドを一度ひととおり読み終えてから
もう一度はじめから終わりまで、読み直した。
窓の外から、山鳥の鳴き声が聞こえた。
ぬるくなったビールをひとくち口に含み、ホワイトアルバムを
ターンテーブルの上に乗せた。
直子は今頃、どこでどうしているのだろう。

66 :異邦人さん:04/03/29 15:01 ID:XTDgH4Zv
あげ

67 :異邦人さん:04/03/30 22:59 ID:jrZsLW2h
age

68 :アエロフロート離陸時の乗客:04/04/12 10:58 ID:mK6/ladU

ちょっと死相出てた。ちょっと死相出てた。

69 :村上春樹28号:04/04/12 22:10 ID:05xG9Q4C
僕は37歳で、そのときボーイング747のシートに座っていた。
その巨大な飛行機はぶ厚い雨雲をくぐり抜けて降下し、ドンムアン空港に到着しようとしているところだった。
十一月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、雨合羽を着た整備士たちや、のっぺりとした空港ビルの上に立った旗や、BMWの広告板やそんな何もかもをフランドル派の陰うつな絵の背景のように見せていた。
やれやれ、またタイか、と僕は思った。

タイ人スチュワーデスがやってきて、僕の隣りに腰を下ろし、もう大丈夫かと訊ねた。
「大丈夫です、ありがとう。ちょっと勃起しただけだから」と僕は言って微笑んだ。
「そういうこと私にもときどきありますよ。よくわかります」
彼女はそう言って首を振り、席から立ち上がってとても素敵な笑顔を僕に向けてくれた。
「良い御旅行を。さよなら」
「コップンカッ!」と僕は言った。

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